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ラップ口座212万件・30兆円|平均1,431万円は真ん中の数字か

市場統計公開:2026年9月29日最終更新:2026年9月29日文:蓮

本記事は情報提供を目的とした解説であり、特定の投資信託・金融商品の購入を勧誘するものではありません。投資信託・株式・FX等は元本割れのおそれがあります。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。制度・税制・費用の数値は執筆時点のもので、最新情報は金融庁・資産運用業協会など一次情報をご確認ください。

結論から言うと、2026年6月末のラップ口座は2,122,885件・30兆3,706億円で、1件あたりの平均は約1,431万円です。ただし件数の64.5%は契約金額1,000万円未満の口座で、この層が持つ金額は全体の12.9%しかありません。平均値は、上位のごく一部に引っ張られた数字です。資産運用業協会が2026年9月11日に公表した「2026年6月末統計資料」から、金額帯・個人と法人・過去9年の推移の順に数字を並べます。

棒グラフのイラスト

3か月で件数は3.1%、金額は12.4%増えた

ラップ業務は、証券会社や信託銀行が顧客と投資一任契約を結び、資産配分と運用をまとめて引き受けるサービスです。一般にファンドラップやSMAと呼ばれるサービスがこれに当たります。

2026年6月末の件数は2,122,885件、金額は30兆3,706億円。3月末と比べると件数は63,807件(+3.1%)、金額は3兆3,461億円(+12.4%)増えました。

件数と金額の伸びに4倍の差があります。同じ3か月の市場収益率は、国内株式(TOPIX配当込み)が+14.40%、外国株式(MSCI KOKUSAI・円換算)が+16.34%、国内債券(NOMURA-BPI)が-1.15%でした。金額の増加は新規契約より、既存口座の値上がりで説明できる部分が大きいと読めます。

ラップ業務の件数と金額(資産運用業協会・2026年6月末)
時点件数金額1件あたり平均
2026年3月末2,059,078件27兆0,245億円約1,312万円
2026年6月末2,122,885件30兆3,706億円約1,431万円
増減+63,807件(+3.1%)+3兆3,461億円(+12.4%)約+118万円

1件あたり平均は、金額を件数で割った当ブログの計算です。協会の資料そのものには載っていません。

平均1,431万円の口座は多数派ではない

統計には契約金額帯ごとの件数と金額が載っています。これを並べると、平均値の印象が崩れます。

契約金額帯別のラップ口座(2026年6月末)
契約金額帯件数(構成比)金額(構成比)1件あたり平均
1,000万円未満1,369,318件(64.5%)3兆9,034億円(12.9%)約285万円
1,000〜2,000万円未満379,740件(17.9%)5兆2,464億円(17.3%)約1,382万円
2,000〜5,000万円未満266,147件(12.5%)8兆2,708億円(27.2%)約3,108万円
5,000万〜1億円未満75,388件(3.6%)5兆0,441億円(16.6%)約6,691万円
1〜10億円未満31,496件(1.5%)6兆0,083億円(19.8%)約1億9,076万円
10億円以上796件(0.04%)1兆8,976億円(6.2%)約23億8,392万円

1億円以上の口座は合計32,292件で、件数では1.5%。その1.5%が金額の26.0%を持っています。10億円以上の796件だけで1兆8,976億円です。

件数の3分の2近くが1,000万円未満に入るので、口座を契約金額の順に並べた真ん中の口座は1,000万円未満の帯にあります。「ラップ口座の平均は1,400万円台」という数字を、利用者の典型像として受け取ると外します。

円グラフのイラスト

件数が減ったのは1,000万円未満の帯だけ

3月末から6月末にかけて、1,000万円未満の口座は1,374,528件から1,369,318件へ5,210件(-0.4%)減りました。6つの金額帯のうち、件数が減ったのはここだけです。

一方で5,000万〜1億円未満は63,623件から75,388件へ+18.5%、1〜10億円未満は25,585件から31,496件へ+23.1%。おおむね上の帯ほど伸び率が高い並びです。

株価が2桁上がった四半期なので、値上がりで1,000万円の線を越え、上の帯へ移った口座があったはずです。ただしこの統計は口座ごとの移動を追っていないため、移動と解約と新規契約を分けることはできません。書けるのは「下の帯が縮み、上の帯が膨らんだ」という結果までです。

虫眼鏡のイラスト

個人は1件1,288万円、法人は1億217万円

契約者を個人と法人に分けた表もあります。国内の個人は2,088,951件・26兆9,034億円、国内の法人は33,934件・3兆4,671億円。海外の契約は件数・金額ともゼロでした。

個人は件数の98.4%、金額の88.6%を占めます。1件あたりに直すと個人が約1,288万円、法人が約1億217万円で、およそ8倍の開きがあります。

伸び方も違います。3月末比で個人は件数+3.0%・金額+12.1%、法人は件数+6.3%・金額+14.8%。数は少ないものの、法人の契約が件数でも金額でも個人より速く増えています。

9年で件数3.8倍、金額4.6倍

ラップ業務の区分で遡れる2017年3月末は、564,622件・6兆5,702億円でした。1件あたり約1,164万円です。

ラップ業務の推移(各年3月末、2026年は6月末も併記)
時点件数金額前年度末比(件数/金額)
2017年3月末564,622件6兆5,702億円—
2020年3月末1,027,345件8兆7,774億円+18.3%/-0.6%
2023年3月末1,521,367件14兆6,472億円+12.4%/+6.7%
2026年3月末2,059,078件27兆0,245億円+13.0%/+26.7%
2026年6月末2,122,885件30兆3,706億円+3.1%/+12.4%(3月末比)

2017年3月末から2026年6月末までで、件数は約3.8倍、金額は約4.6倍になりました。

目を引くのは2020年3月末です。件数は前年度末から18.3%増えたのに、金額は0.6%減っています。口座は増え続けても、相場が崩れた期には残高が増えないどころか減る。今回の四半期とちょうど逆の形でした。

株価が大きく上がるチャートのイラスト

この数字から何を読み、何を読まないか

読めることは2つです。1つは、ラップ口座の件数は1,000万円未満の小口が大半を占め、金額は1億円以上の少数の口座に寄っていること。もう1つは、直近の金額の伸びの多くが相場の上昇と重なっていることです。

読めないことも書いておきます。残高の伸びは、利用者の運用成績を示す数字ではありません。統計は契約資産の時価の合計で、投資一任の報酬や組み入れ投信の信託報酬を差し引いた後の成績は、この資料からは分かりません。2020年3月末のように、相場が下がれば残高は減ります。元本割れのおそれがある点は、ほかの投資信託と同じです。

ラップ口座では投資一任の報酬に加えて、組み入れた投資信託の信託報酬もかかります。費用を二重に数える見方は信託報酬と実質コストの見方3つで整理しています。

正面から見た電卓のイラスト
一次情報:一般社団法人 資産運用業協会「2026年6月末現在の投資信託の純資産額および投資一任業等の契約資産額の統計について」(2026年9月11日公表)(ラップ業務2,122,885件・30兆3,706億円、3月末比+63,807件・+3兆3,461億円、契約金額帯別の件数と金額、国内法人33,934件・3兆4,671億円/国内個人2,088,951件・26兆9,034億円、2017年3月末以降の推移、市場収益率TOPIX配当込み+14.40%・MSCI KOKUSAI+16.34%・NOMURA-BPI-1.15%/2026年9月29日確認)。1件あたり平均・構成比・倍率は同資料の数値から当ブログが計算。
蓮
蓮
QuantumLeap データリサーチ担当

AI・データドリブン投資のリサーチを担当。運用コストやオルタナティブデータの動向を、テクノロジーの視点で中立的に解説します。数値は執筆時点の公式情報に基づき、投資判断は自己責任でお願いします。

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